人生初のバイトで出会った不思議な常連さんたち ①
大学生になってすぐのころ、自宅近くの某大手ファストフード店にてアルバイトを始めた。今考えれば、見事なテンパリストで応用が利かず、緊張すると自分が何をしているかわからいほどパニックに陥る私が、なぜ、こんなスピード感を求められる仕事を選んでしまったのか、、、入って数週間で、私は後悔した。お釣りを数えられない、オーダーを間違える、こんなのは序の口。渡し間違えてお客様の車を追いかけたことも。
でも、結果的にはこの明らかに向いていなかったであろうバイトを一年以上も続けることとなった。
理由は、接客業が好きだとわかったこともあったが、何よりもこの店にやって来る不思議な常連たちに会うのが恐ろしくも楽しみとなってしまったからだ。
エントリーNo.1 コーラ出来立てさん
彼女は、朝メニューから昼メニューへの入れ替え頃にやってくる。小太りでスキンヘッド、さらにヒョウ柄のワンピースを纏ってこちらに向かってくる姿を見るだけで、今日も来たー‼︎っと心の中で叫ばずにはいられなかった。
先に言っておくが、彼女は、店のブラックリストに入っているわけではない。ただ、私の中ではグレー的存在で、いつも身構えていた。なにしろ、その見た目はもちろんのこと、すべてにおいて勢いがすごいのだ。
自動ドアが開いた。
「ビック◯ック、ポテトL、コーラL!!!持ち帰り!」
と、彼女はいつもの雄叫びをあげる。この時点で、レジまでの距離はまだ3mはある。
これだけでも驚かされるが、私のびっくりのボルテージがMAXになるのは、この後。
「コーラ出来立てで!」と2回目の雄叫び。
初めて彼女に出会った時の私は恐ろしくて凍りついてしまった。
コーラ出来立て???ポテト出来立ての間違えか???
そこに、私の最も苦手とするパートのおばちゃんが奥からでてきて、
「この子、新人でわかってないんです。ごめんなさいね〜」っと。
えっ、私がおかしいの?もはや、フリーズ状態の私に、
パートのおばちゃんが続けて、
”コーラは他の注文が全部出来上がってから作ってあげて!
炭酸が抜けるから!はー、もう”っとため息。
”えっ、怖い、怖い、怖い。コーラ出来立ての意味を知らない私が非常識なのー?!”
この日から”コーラ出来立てさん”が来たら、Lサイズのカップをマシーンにセットし、最後の最後に注ぐ。最後の最後に、、、っと何かに取り憑かれたように呪文を唱える私であった。
みなさんも、おうちで出来立てコーラ試してみては?